社会福祉士試験の新カリキュラムについて解説

    令和3年度から導入された社会福祉士の新カリキュラムの変更点を詳しく解説しています。

    社会福祉士の新カリキュラムを解説!

    社会福祉士の役割と必要性

    社会福祉士は、高齢者支援、障害児者支援、子ども・子育て支援、生活困窮者支援など、幅広い分野で活躍しています。特に少子高齢化の進展により、社会福祉士には多様で複雑なニーズに対応するための実践能力が求められています。地域共生社会の実現を目指し、制度横断的な課題解決や必要な社会資源の開発に貢献することが期待されています。

    カリキュラムの見直し

    1. 養成カリキュラムの充実

    • 地域共生社会の実現に向けた新科目の創設
      • 地域福祉と包括的支援体制(60時間):多機関の協働による包括的な相談支援体制の知識を習得します。
    • 司法領域に関する教育内容の見直しと時間数の拡充
      • 刑事司法と福祉(30時間):司法と福祉の連携を強化します。

    2. 実習及び演習の充実

    • 実習時間の免除
      • 介護福祉士、精神保健福祉士の資格を有する者は、60時間を上限に実習を免除されます。
    • 実習時間数の拡充
      • ソーシャルワーク実習(240時間):2以上の実習施設での実習を義務化します。

    3. 実習施設の範囲の見直し

    • 実習施設の範囲の拡充
      • 都道府県社会福祉協議会、教育機関、地域生活定着支援センター等が新たに実習施設の範囲に含まれます。

    4. 共通科目の拡充

    • 共通科目の時間数拡充
      • 現行11科目、420時間から13科目、510時間に拡充されます。

    科目の新旧対照表

    新しいカリキュラムと現行カリキュラムの科目の対照表を以下に示します。

    旧科目名

    新科目名

    人体の構造と機能及び疾病

    医学概論

    心理学理論と心理的支援

    心理学と心理的支援

    社会理論と社会システム

    社会学と社会システム

    現代社会と福祉

    社会福祉の原理と政策

    社会保障

    社会保障

    権利擁護と成年後見制度

    権利擁護を支える法制度

    地域福祉の理論と方法

    地域福祉と包括的支援体制

    高齢者に対する支援と介護保険制度

    高齢者福祉

    障害者に対する支援と障害者自立支援制度

    障害者福祉

    児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

    児童・家庭福祉

    低所得者に対する支援と生活保護制度

    貧困に対する支援

    更生保護制度

    刑事司法と福祉

    保健医療サービス

    保健医療と福祉

    相談援助の基盤と専門職

    ソーシャルワークの基盤と専門職

    相談援助の理論と方法

    ソーシャルワークの理論と方法

    相談援助演習

    ソーシャルワーク演習

    相談援助実習指導

    ソーシャルワーク実習指導

    相談援助実習

    ソーシャルワーク実習

    カリキュラム新旧対照表

    科目名

    現行 (時間数)

    見直し後 (時間数)

    医学概論

    30

    30

    心理学と心理的支援

    30

    30

    社会学と社会システム

    30

    30

    社会福祉の原理と政策

    60

    60

    社会保障

    60

    60

    権利擁護を支える法制度

    30

    30

    地域福祉と包括的支援体制

    -

    60

    高齢者福祉

    30

    30

    障害者福祉

    30

    30

    児童・家庭福祉

    30

    30

    貧困に対する支援

    30

    30

    刑事司法と福祉

    -

    30

    保健医療と福祉

    30

    30

    ソーシャルワークの基盤と専門職

    60

    30

    ソーシャルワークの理論と方法

    120

    60

    ソーシャルワーク演習

    150

    150

    ソーシャルワーク実習指導

    90

    90

    ソーシャルワーク実習

    180

    240

    まとめ

    新しいカリキュラムでは、地域共生社会の実現を目指し、実践能力を高めるための教育内容が充実されています。社会福祉士の多様な役割に対応するために、教育内容や実習の充実が図られており、これにより社会福祉士はより専門的かつ実践的なスキルを持ち、地域社会の課題解決に貢献できる人材として期待されています。

    小野寺仁

    東京成徳大学人文学部 福祉心理学科卒業。一般社団法人ハンドレッド代表理事。株式会社ヒポクラテス代表取締役社長。 発達障害を持った子ども達の支援を行い、療育する施設を多店舗展開。子ども達の社会性を育む療育に力を入れている。 また、社会福祉士としての活動を通し社会福祉士に100%合格するオンラインスクール「社福の学校」を運営している。社会福祉士受験のオンラインスクールでは入会者数、合格率で日本1を獲得。 SNSでの発信活動を通し、「福祉のスタバ化」に向けて福祉職の意欲向上や社会福祉士の地位向上に邁進している。